【中編小説】 砂丘の塔
 視界は、漆黒の闇に閉ざされている。鋭敏になった聴覚をたよりに、新上香織(しんじょう かおり)は待っていた。身体には、なにひとつ着けていない。立ちすくんだまま、辺りの気配に意識を集中する。
 空を切る音がした。乳房、腰、腹部、。続け様に衝撃が走る。香織はかすれた悲鳴を上げた。ぞわりとした感覚が全身を駆けめぐる。堪えきれない。自分で自分を抱きしめて香織は哀願した。
「お願い、もっと」
「……四つんばいに、なれ」
 男の声が低く命じた。闇の中、香織は、柔らかい絨毯へと崩れるように膝を落とした。犬猫さながらの無様な姿勢で喘ぐ。

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砂丘の塔 | 23:55:55
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